目次
1.実際にVIX指数や原油に投資するとどれくらい減価(下落)するのか?
証券口座でVIX指数に投資するためには「1552 VIX短期先物ETF」等を利用して投資をすることができます。また、原油に投資するためには「2038 原油ブルETN」等で投資ができます。
ではこれらのチャートを確認してみます。
減価が凄まじいと言われている「1552 VIX短期先物ETF」は2011年末から2017年の現在まで約200分の1まで下落しています。
「2038 原油ブルETN」に関しても、2014年から2017年現在までで約14分の1まで下落しています。
どちらも凄まじい下落ですね・・・VIX指数や原油の現物のチャートとも比較してみます。
確かにこちらも下落していますが、「VIX指数」の約4.5分の1に対して「1552 VIX短期先物ETF」は約200分の1まで下落しているので、比べ物にならない程下落していることが分かります。
また、チャートを比べると「VIX指数」のチャートは上下に推移しながらも基本的に一定に推移していますが、「1552 VIX短期先物ETF」のチャートは永久に下落し続けています。
「原油」に関しても約2.2分の1に対して「2038 原油ブルETN」は14分の1ですので、こちらもかなり減価していることが分かります。
※「1552 VIX短期先物ETF」は2017年9月15日に「200:1」で株式併合されています。
(77円→15,400円)
2.減価(下落)する仕組みについて
原油等のETFやETNが減価(下落)する理由は、保管コストや運用コストがかかるためですが、その仕組みについて詳しく解説します。
(1)ロールオーバーコストとは?
原油等のETFやETNの運用会社は実際に原油を買って保管している訳ではなく、「原油先物」を買ってETFやETNとして発行しています。
しかし、先物は「将来予め定められた期日に、商品(原油等)を現時点で取り決めた価格で売買することを約束する取引」ですので、限月(期限)が来てしまうと現物の商品(原油)になってしまいます。
※実際には限月(期限)を迎えると保有している先物は強制決済されます。
このように先物には限月(期限)があり、限月が「1ヵ月先に来るもの」、「2ヵ月先に来るもの」といったように分かれています。
そのため、ETF、ETNには期限が無いため、運営会社は「先物価格」に連動させる手段として「当月期限の先物」から「翌月期限の先物」に買い替える必要があります。
※ETNはETFと違い、実際には現物資産を保有していないため「先物やオプション」等でヘッジして価格を維持しています。
「当月期限の先物」から「翌月期限の先物」に買い替えることを「ロールオーバー取引」といい、
「ロールオーバー取引」にかかるコストを「ロールオーバーコスト」といいます。
この「ロールオーバーコスト」が主な減価(下落)の原因となっていますが、逆に「ロールオーバーコスト」によって増価(上昇)することもありますので、
ここからは「ロールオーバーコスト」の価格の決まり方について説明します。
(2)コンタンゴとは
「ロールオーバー取引」にて、「当月期限の先物」よりも「翌月期限の先物」の方が価格が高い場合、
【「価格が安い」当月期限の先物】から、【「価格が高い」翌月期限の先物】へ買い替えていくことになるため、「ロールオーバーコスト」がかかり、株価は減価(下落)していく原因となります。
このように先の限月(期限)の先物の方が高い状態をコンタンゴといいます。
(3)バックワーデーションとは
「ロールオーバー取引」にて、「当月期限の先物」よりも「翌月期限の先物」の方が価格が安い場合、
【「価格が高い」当月期限の先物】から、【「価格が安い」翌月期限の先物】へ買い替えていくことになるため、「ロールオーバーコスト」がもらえ、株価は増価(上昇)していく要因となります。
このように先の限月(期限)の先物の方が安い状態をバックワーデーションといいます。
(4)「ロールオーバーコスト」のイメージ
コンタンゴの場合はロールオーバーコストがかかり、株価は減価(下落)、バックワーデーションの場合はロールオーバーコストがもらえ、株価は増価(上昇)することが分かりました。
次からはコンタンゴとバックワーデーションを生じさせる「当月期限の先物」と「翌月期限の先物」の価格差がなぜ発生するのか説明していきます。
(5)コンビニエンス・イールドとは
「当月期限の先物」と「翌月期限の先物」の価格差が発生する要因に「コンビニエンス・イールド」というものがあります。
「コンビニエンス・イールド」は商品(原油等)をすぐに使えることの価値の値を示すものになりますが、需要の急な増加や生産性の悪化などで需給が逼迫(ひっぱく)すると上昇し、逆に需給が緩慢(落ち着く)になると減少する傾向にあります。
この「コンビニエンス・イールド」の増減が「当月期限の先物」と「翌月期限の先物」の価格差を発生させる大きな要因になります。
(6)キャリー・コストについて
先物と現物(原油等)の価格差を「キャリー・コスト」といい、
「キャリー・コスト」=「保管コスト」-「コンビニエンス・イールド」
で簡易的な計算ができます。
※実際には金利等の要因も計算に含みますが影響は小さいので除いています。
つまり「保管コスト」が「コンビニエンス・イールド」を上回ると先物価格の方が高くなり、「コンビニエンス・イールド」が「保管コスト」を上回ると現物価格の方が高くなります。
基本的には「保管コスト」の方が高いため先物価格の方が高いですが、
台風発生や地政学リスクにより原油の調達ができず、需給が逼迫すると「コンビニエンス・イールド」が上昇し、現物価格の方が高くなる仕組みになります。
(7)当月期限と翌月期限の先物の価格差はなぜ発生?
「当月期限の先物」は交換期限が近いため、現物(原油等)に近い存在になります。
逆に「翌月期限の先物」は現物(原油等)との交換まではまだ1ヵ月以上先になります。
つまり「期限が近い先物」ほど、現物(原油等)に近い存在になります。
台風発生や地政学リスクにより原油の調達ができず、需給が逼迫すると「コンビニエンス・イールド」が増加し、現物価格の方が高くなることから、
「当月期限の先物」と「翌月期限の先物」を比べると「当月期限の先物」の方が現物に近いので、
上記のような異常時には「当月期限の先物」の方が価格が高くなります。
逆に通常時は「翌月期限の先物」の方が価格が高くなります。
(8)減価(下落)する仕組みのまとめ
以上から通常時はコンタンゴ(「翌月期限の先物」価格の方が高い)になり、株価は減価(下落)していきます。
逆に異常時はバックワーデーション(「翌月期限の先物」価格の方が安い)になり、株価は増価(上昇)していきます。
つまり、通常時と異常時を比べると通常時の期間の方が長いので、「VIX指数」や「原油先物」のETF,ETNの株価は減価(下落)していく傾向にあります。
(9)コンタンゴ、バックワーデーションの発生率
月単位でのコンタンゴ、バックワーデーションの発生回数は以下になります。
VIX指数はモデル数がまだ少ないですが、90%を超えており、原油に関しても85%を超えています。
このことから圧倒的にコンタンゴ期間の方が長く、株価が減価(下落)していくことが分かりました。
コンタンゴを活用して利益を出す、VIX指数の投資方法については下記の記事を参照下さい。
1.VIX指数投資の基本↓
2.夢ある投資方法で1億円をめざす!↓
3.VIX指数投資の利益目安↓
4.VIX指数の短期投資で安定的に稼ぐ!↓
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